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乃木坂46を輝かせる46のストーリー

2011年8月21日

当時、日本の女性アイドルグループの中で、
抜群の人気を誇っていたAKB48の公式ライバルグループが誕生します。

グループ名は、プロデュース会社 (ソニー・ミュージックエンタテインメント) が当時所有していたビルの名前と、
(公式ライバルでもある) AKB48より人数が少なくても負けないという意味を込めて以下のように名付けられました。


乃木坂46 (のぎざか フォーティーシックス)


知名度があまりない結成当初こそ「乃木坂48」などと揶揄されていましたが、
地道な活動が実を結び、今や国民的女性アイドルグループへと成長しました。

品位と清楚を兼ね備えた美しい容姿に加え、
見るものを一瞬で虜にしてしまう圧倒的なライブパフォーマンス。

多様性と可能性に満ちあふれた乃木坂46は、
多くのファンに支えられながら現在進行形で進化し続けています。

(沢山の要素がある中で)
乃木坂46の魅力を一言で表現する(一つに絞る)のは難しいですが、
唯一無二の個性を放つ楽曲の世界観は本当に素晴らしく、アイドルを超えた魅力があります。

他の女性アイドルグループと比べて歌が上手であったり、
メロディーラインが素晴らしい等の単純なものではなく、独特のオーラを秘めているのです。

乃木坂46作品の魅力を一言で分かり易く表現するならば、次の二つに集約されると思います。


・強いメッセージ性を秘めた歌詞
・品位を纏ったサウンドアレンジ


総合プロデュースと (白石麻衣ソロ曲「じゃあね」以外の) 全楽曲の作詞を手掛ける秋本康さんは、
「誰から発せられる言葉なのか」ということを大切にしており、それが歌詞にも反映されています。

中には、現代社会へのアンチテーゼともとれるディープなテーマを取り上げることもありますが、
「乃木坂46から発せられる言葉だからこそ、伝わる人もいる。」という思いが込められています。

そして、サウンドアレンジに関しても独特の世界観があり、
他の女性アイドルグループの楽曲群よりも音の主張が弱く、品位を感じるサウンドが特徴的です。

当然ながら、女性アイドルグループが披露する楽曲なので、
ときに可愛らしい歌詞や、音の主張が強いサウンドアレンジを施した楽曲もあります。

ですが、その割合は他の女性アイドルグループと比べても圧倒的に少ないと思います。

加えて、一口に楽曲と言っても色々な種類があり、それぞれに特徴・魅力があります。

ちなみにですが、
乃木坂46作品を大まかに振り分けると以下のようになります。

表題曲・・・選抜メンバーの歌唱によるシングルのリード曲。
アンダー楽曲・・・アンダーメンバー (選抜メンバー以外のメンバー) による歌唱曲。
ユニット曲・・・その楽曲の世界観に合ったメンバー (最低二人以上) による歌唱曲。
ソロ楽曲・・・特定のメンバー一人による歌唱曲。
期別楽曲・・・同期 (加入した時期が同じ) メンバーだけで歌唱する楽曲。
それ以外・・・選抜メンバーによる別歌唱曲やアルバムのリード曲など。

それぞれの楽曲にそれぞれの良さがあり、
一つとして同じストーリーが存在しない。

乃木坂46の楽曲は、常に驚きと感動で満ち溢れているのです。


「こんなにも素晴らしい楽曲群を知らないなんて、本当にもったいない!」


そこで今回は、そんな乃木坂46作品の魅力を分かり易く丁寧に解説していきながら、
乃木坂46というグループ自体の隠れた魅力まで一挙にお伝えしていこうと一念発起。

乃木坂46の全楽曲の中から、グループ名にあやかり46曲を真剣にセレクトしました。

初期の頃から応援しているファンの方はもちろん、
これから乃木坂46を知るスーパービギナーの方まで楽しめる内容となっております。

今回のジャーナルを通して、乃木坂46作品の魅力、
さらに言えば、女性アイドルグループの楽曲に興味を抱いていただければ幸いです。

それでは、
「乃木坂46を輝かせる46のストーリー」を存分にお楽しみください!
(EarCOUTURE Journal史上最も濃いボリュームでお届けいたします!)


注:今回の46曲を選ぶにあたり、以下のような基準を設けました。

・乃木坂46作品の特徴(音楽性)が分かり易く反映されている作品であること
・人気・知名度を加味しながらも音楽的にクオリティの高い作品であること

ご紹介する楽曲の順番は、発売年 (年が同じ場合は月) の古い順とする。

・曲名の前に★マークを記した作品・・・個人的な観点から選出した、
現時点(2024年2月現在)までに発表された乃木坂46作品の中のベスト5。

本ジャーナルをお読みになり、乃木坂46作品に興味を持ったものの、
「何から聴いたら良いのか迷ってしまう」という方にオススメな作品。

本ジャーナルで記載したデータは、全て2024年2月現在のものとする。


Song Selection 1:NOGIZAKA BASICS


最初のセレクションは「NOGIZAKA BASICS」と題し、
乃木坂46を語る上で絶対に欠かすことができない3曲をご紹介します。

ライブでも毎回のように披露されており、ファンからの人気も高い3曲。
乃木坂46作品を聴いたことがない方にも、特にオススメしたい3曲です。


1/46:裸足でSummer (15thシングル 表題曲) <2016>
乃木坂46のエースとして長らく活躍してきた齋藤飛鳥さん(2023年卒業)の記念すべき最初のセンター曲であり、ライブでも抜群の人気を誇る夏曲(注①)の一つ。今にも夏が始まりそうなイントロが印象的な本楽曲。ギターのバッキングやベースを効果的に入れながら、アイドルソング王道の爽やかさも兼ね備えています。ライブのセットリストには必ずと言っていいほど組み込まれており、サビ部分で推しメンの名前が書かれたタオルを頭上に掲げる応援スタイルが定着している。

2/46:インフルエンサー (17thシングル 表題曲) <2017>
坂道シリーズ初の「日本レコード大賞受賞曲」でもある本楽曲。乃木坂46全作品の中でも人気・知名度は抜群で、同グループ初のミリオンセールスを達成した。フラメンコギターやパーカッションを効果的に使い、大人の色気を纏った情熱的なアレンジで聴く者を魅了。乃木坂46史上過去最高の超高速ダンスを交えながらド派手な炎の演出の中で披露されるライブパフォーマンスはまさに圧巻。乃木坂46を語る上で欠かすことのできない、まさにグループの運命を変えた一曲です。

3/46:★ シンクロニシティ (20thシングル 表題曲) <2018>
乃木坂46にとって記念すべき20枚目のシングルは、同グループを象徴するメンバーとして多くのファンから愛された生駒里奈さんの卒業シングルでもあります。ギターのバッキングを交えたサウンドアレンジは至ってシンプルであり、リズムを少々強調させながらも、主旋律と言葉(歌詞)の両方を同じ分量で伝えている。サビ部分はもちろん、ヴァース部分(サビに入るまでの導入部分)もすべてユニゾン(注②)で歌われており、タイトルの「シンクロニシティ」を形容しています。当初の計画では、生駒さんにセンターポジションを任せるはずだったが、乃木坂46の未来を考え生駒さん自ら変更を直訴。その後、白石麻衣さんに変更となる。自分の花道よりもグループのこれからを優先する生駒さんの思いと、それに応える他メンバーの決意が集約された本楽曲。グループの絆を紡ぐ重要な作品です。


(注①:夏曲)・・・「真夏の全国ツアー」と題し、毎年夏の時期に全国ツアーを行うことが通例となっている乃木坂46。
その時期に合わせて発表される楽曲は、ライブ向き (アップテンポ) のアレンジが多く、総じて「夏曲」と呼ばれている。

(注②:ユニゾン)・・・複数人で同じ旋律を同じ音程で合奏、または合唱すること。
女性アイドルグループの楽曲(特にサビ部分)においてよく見られる歌唱方法であり、ソロよりも歌の力強さを伝えられる。


Song Selection 2:乃木坂46作品の代名詞 -表題曲セレクション-


乃木坂46作品の中核を担うもの。

それは、シングルの表題曲をおいて他にないでしょう。

音楽番組で披露される楽曲のほとんどが表題曲であり、
乃木坂46作品の中でも特に厳選された楽曲になります。

表題曲は、2024年の2月時点で計34作品ありますが、
その中でも選りすぐりの20曲(注③)をピックアップしました。

どの作品もクオリティが高く、
乃木坂46作品のレベルの高さが伺えます。

「乃木坂46の表題曲には、アイドルソングの概念を変える力がある。」

皆さまも、一度聴けばご納得していただけるのではないでしょうか?


(注③:20曲)・・・Song Selection 2の中で7曲。残りの13曲は他のSong Selectionで記載。


4/46:おいでシャンプー (2ndシングル 表題曲) <2012>
(デビューシングルの)「ぐるぐるカーテン」で構築した清楚感あふれる世界観を継承しながら、より乃木坂46らしさをとことん追求した初期を代表する表題曲。可愛らしい振付やサビ部分をユニゾンで歌うなど、アイドルソングとしての定番要素を盛り込みながら、品位のあるサウンドを提示して独自の方向性を示した。デビューから続いたフレンチポップス3部作(表題曲)の中でも、とりわけ人気のある本楽曲。乃木坂46を語る上で重要な作品となっていることは間違いない。

5/46:何度目の青空か ? (10thシングル 表題曲) <2014>
記念すべき10枚目の表題曲は、4つ打ち(バスドラムが等間隔に打ち鳴らされるリズム)が印象的なミディアムバラード。旋律の良さは言うまでもありませんが、何よりも素晴らしいのは、サウンドアレンジを含めた楽曲構成にあります。リズムと等間隔で配置されたピアノ音が印象的なAメロのオケをイントロにも採用。こうすることでBメロとの境目にメリハリがつき、(一番の聴かせ所である)サビをより効果的に演出することができます。シリアスな曲調のイントロから始まり、サビに進むにつれて徐々に目の前を覆っていた霧が晴れるかのように展開していくこの理想的な流れは、音楽の教科書に掲載されても不思議ではありません。

6/46:命は美しい (11thシングル 表題曲) <2015>
女性アイドルグループの楽曲としては、Aメロの音程が他に類を見ないほど低く設定されており、ダークな雰囲気も相まって表題曲の中でも異彩を放つ問題作。ダンスサウンドがベースとなっているが、イントロやサビ前など、要所要所で入る生ピアノの音色がほどよい緊張感を生み、本楽曲の世界観に花を添えている。何よりも、高いスキルと運動量が要求される激しいパフォーマンスを経験したことで表現力にも磨きがかかり、後の作品に影響を与えたのは言うまでもない。

7/46:今、話したい誰かがいる (13thシングル 表題曲) <2015>
アニメーション映画「心が叫びたがってるんだ。」の主題歌でもある本楽曲は、多くの人が抱く乃木坂46のイメージを惜しげもなく盛り込んだマスターピース!映画のストーリーとも重なる歌詞の世界観もさることながら、ピアノをベースとしたリズミカルなサウンドアレンジが本当に素晴らしく、これぞ乃木坂46という仕上がりになっている。加えて、ストーリー性がある本楽曲のMV(ミュージックビデオ)は、映像作品としての評価も非常に高く、個人的にも一番好きな作品。

8/46:帰り道は遠回りしたくなる (22thシングル 表題曲) <2018>
乃木坂46に儚いイメージを纏わせた一番の功労者であり、(グループの顔とも言える)白石麻衣さんとともに、乃木坂46の二枚看板として活躍した西野七瀬さん。そんな西野さんの卒業ソングでもある本楽曲は、優しさと希望に満ちあふれた珠玉のナンバーであり、多くの乃木坂46ファンに愛されています。特筆すべきは、ストリングスが一際存在感を放つ流麗なサウンド。絡み合う主旋律とともに、刹那的な美しさがあり、西野さんのキャラクターと見事にシンクロしている。

9/46:Sing Out ! (23thシングル 表題曲) <2019>
躍動感のあるクラップ音に共鳴するかのように鳴り響く美しい歌声。歌とダンスを交えながら、みんなで歌う喜びをシンプルかつストレートに表現した本楽曲。歌唱パートに重きを置いた作風は、それまでの表題曲には無い試みであり、新境地を開拓。クラシックギターとオーケストレーション主体のオケも素晴らしい。ファンと一体になるライブパフォーマンスは、"音を楽しむ"ことの大切さを改めて感じるとともに、乃木坂46のファンで本当に良かったと思わせてくれる。

10/46:ここにはないもの (31thシングル 表題曲) <2022>
乃木坂46に数々の功績を残してきた齋藤飛鳥さんの卒業シングルでもある本楽曲。美しいピアノの音で始まる乃木坂46らしい品のあるサウンドアレンジに加え、卒業する飛鳥さんの思いを代弁したような歌詞の構成も素晴らしく、「寂しさよ 語りかけるな」という表現を生み出した秋元康さんの言葉のセンスに脱帽です。切ないメロディーラインなのに、不思議と心地よいあたたかさを感じてしまう。飛鳥さんの人柄と存在感、そしてメンバーとの絆が伝わる素敵な楽曲です。


Song Selection 3:表題曲と表裏一体の世界観 -アンダー楽曲セレクション-


乃木坂46作品の魅力を語る上で、
絶対に欠かすことのできないもの。

それが、アンダー楽曲です。

原則として、アンダー楽曲は、
表題曲の選抜メンバーに入れなかったメンバー(通称:アンダーメンバー)が歌います。

アンダー楽曲の魅力を一言で表現するのは難しいですが、
あえて申し上げるならば、「リアル」という言葉に凝縮されているような気がします。

選抜メンバーとアンダーメンバー。この関係性を人間社会に置き換えたとき、
ほとんどの人はアンダーメンバー側のポジションに属しているのではないでしょうか?

どの世界においても、一等星のような眩い輝きを放つ存在はごく僅かでしかありません。

しかしながら、そんな一等星のような存在も、
それを引き立てる存在がいるからこそ、輝きを証明することができるのです。

悪役が存在しなければ、戦隊ヒーローはヒーローではなく、ただの強い存在。

アンダーメンバーの存在は、乃木坂46を陰で支える第二のヒーローなのです!

アンダー楽曲のクオリティは表題曲と双璧をなすほど高く、評価もうなぎ上り。

アンダー楽曲のみでセットリストのほとんどを構成しているアンダーライブは、
アリーナクラスを超満員にするほどの人気があり、チケットの入手も困難です。

「カップリング曲」という存在を超越したアンダー楽曲、本当にオススメです!

ちなみにですが、、、

アンダー楽曲を細かく分類すると、
以下の3つに分けることができます。

Ⅰ・・・クール (orカッコいい) 系
Ⅱ・・・王道の女性アイドル路線
Ⅲ・・・メッセージ性のある応援ソング (ⅠとⅢをミックスさせた作風もある)

クール (orカッコいい) 系のイメージが強いアンダー楽曲ですが、
以外にも初期の頃 (8thシングルまで) は王道の女性アイドル路線が中心でした。

ですが、アンダーライブを開催するようになった2014年以降は、
クール (orカッコいい) 系の楽曲が多くなり、表題曲と表裏一体の世界観を確立。

太陽のように眩い輝きを放つ表題曲も確かに素晴らしいですが、
月のように暗い夜を優しい明りで照らし続けるアンダー楽曲も私は大好きです。

次にご紹介するのは、そんなアンダー楽曲の中からオススメの6曲をセレクト!

気に入っていただければ幸いです。


11/46:ここにいる理由 (9thシングル アンダー楽曲 Ⅰ) <2014>
それまでの王道アイドル路線を全く感じさせないクールな世界観が特徴的な本楽曲。ある意味、アンダー楽曲の出発点とも言うべき作品であり、存在感は抜群!リバーブ (音に空間的な深みを与えるエフェクター) を効かせた打ち込み系サウンドはもちろん、転調を入れるタイミングにもセンスがあり、何よりカッコいい。私と乃木坂46を繋ぎ合わせて (きっかけを与えて) くれた本楽曲。それまで持っていたアイドルソングの概念を、根底から覆してくれた素晴らしい作品です。

12/46:あの日 僕は咄嗟に嘘をついた (10thシングル アンダー楽曲 Ⅰ) <2014>
表題曲としてリリースされてもまったく違和感がなく、初めて聴いた人の多くは「この楽曲が本当にシングルのカップリングなのか !?」と驚愕すると思います。アンダー楽曲の中でも屈指の名曲として知られている本楽曲の叙情的な世界観は、まるで小説を読んでいるかのように緻密で繊細であり、美しく、そして儚い。Robert Miles(ロバート・マイルズ)(注④)の「Children」を彷彿とさせる煌びやかなサウンドアレンジは、乃木坂46作品の中でも傑出した完成度を誇っている。

13/46:アンダー (18thシングル アンダー楽曲 Ⅰ&Ⅲ) <2017>
アンダーメンバー(及びアンダーポジション)を意味する「アンダー」をそのままタイトルにした本楽曲。まさに、アンダー楽曲の真骨頂とも言うべき作品です。同じグループに所属しながら、容赦なく振り分けられる「光と影」。キラキラと輝くアイドル業界の陰の部分を如実に表現したリアルな歌詞もさることながら、それを懸命に歌いこなすアンダーメンバーの健気な姿に心打たれます。リアルと願望を調和させながら、輝くためのヒントを示してくれる最高のアンセムです。

14/46:日常 (22thシングル アンダー楽曲 Ⅰ) <2018>
「日常」というほのぼのとしたタイトルとは裏腹な、ロックテイスト全開のメッセージソングであり、アンダー楽曲の中でもトップクラスの人気を誇っている。「現状に不満があるけど行動を起こせず 決められたレール通りに進む」ことに警鐘を鳴らしながら、日常に潜む小さな幸せの存在と、その大切さを説いている。普段の可愛らしい表情を微塵も感じさせないダイナミックなライブパフォーマンスは鳥肌ものであり、アンダーメンバーの存在価値を証明する最高の楽曲です!

15/46:口ほどにもないKISS (26thシングル アンダー楽曲 Ⅱ) <2021>
歌詞やメロディーラインはもちろん、アレンジにも女の子らしさをふんだんに盛り込んだ本楽曲。まさに、"正統派のアイドルソング"とも言うべき作品ですが、そこは乃木坂46クオリティ。注意深く聴いてみると、細部に至るまでよく作り込まれています。特に素晴らしいのが、リズムをつかさどる楽器への配慮や工夫。バスドラムを入れるタイミングやスネアの代わりにクラップ音を使用するなど、その楽曲に対してのベストな選択を的確に遂行するプロの仕事が光っています。

16/46:錆びたコンパス (27thシングル アンダー楽曲 Ⅲ) <2021>
ストンプ(注⑤)を思わせる軽快なリズムがトリガーとなって、心の片隅に眠っていた冒険心を呼び覚ます!個人的には、近年で最も感動したアンダー楽曲です。「悔いのない人生なんて どこにも存在しないだろう」現実を突きつける忌憚のない歌詞が心をつかみ、今を生きる現在と未来との接点を必然的に示してくれる。アンダーメンバーが歌うからこそ説得力があり、勇気をもらえる。自分自身を変えるべく、何かに挑戦しようとしている全ての人にぜひとも聴いて欲しい作品。


(注④:Robert Miles)・・・テクノやハウスなどのエレクトロニック・ダンス・ミュージックを得意とする、作曲家兼音楽プロデューサー。
その名を世界に知らしめた代表曲「Children」は、ピアノとダンス・ミュージックが融合した傑作であり、歴史的名曲として知られている。

(注⑤:ストンプ)・・・元々はジャズダンスにおけるリズムの一つであり、リズムに合わせて足を踏み鳴らす激しいダンススタイルを指す。


Song Selection 4:LIVE LIVE LIVE


ライブ。

それは、乃木坂46の魅力を最も体感できるイベント。

多くのメンバーと同じ時間を共有できる喜びに加え、
乃木坂46作品の魅力を存分に味わうことができます。

次にご紹介するのは、
そんなライブ演奏時に映える楽曲群をピックアップ!

どれも、乃木坂46のライブには欠かすことのできない作品ばかりです。

ポテンシャルを最大限まで引き出すファンのコール。
信じられない奇跡を生み出すリアルイリュージョンがここにあります。


17/46:ロマンティックいか焼き (5thシングル選抜メンバーによる別歌唱曲) <2013>
ライブ演奏の醍醐味の一つに、ファンのコールがあります。その影響力は絶大であり、ときに楽曲そのもののイメージをガラリと変えてしまうことがあります。ミディアムテンポの本楽曲は、本来であればライブ向きの楽曲とは呼べないのかもしれません。ですが、コール(&レスポンス)が交わることで一体感が生まれ、原曲のイメージには無いライブ向きの楽曲へと昇華(変貌)させている。ライブ演奏の恩恵をこれ以上ない形で享受した、お手本のような作品と言えるでしょう。

18/46:ロマンスのスタート (8thシングル選抜メンバーによる別歌唱曲) <2014>
(女性の方でも思わずキュンとしてしまうほど) 乃木坂46の可愛い部分を真空パックしたような本楽曲は、ライブ映え間違いなしの純度100%のアイドルソング!完全なアイドル仕様と化したサウンドアレンジが本当に素晴らしく、宝石箱をひっくり返したようにキラキラと輝くメンバーの一挙手一投足を包み込んでいる。コールという名の太陽を浴びることで、サナギから成長した蝶のように変貌を遂げるライブ演奏は必見であり、無双状態の乃木坂46に遭遇することができます。

19/46:あらかじめ語られるロマンス (ユニット曲) <2015>
信じられないかもしれませんが、乃木坂46のファンの多くは12星座の学名 (ラテン語) を全て覚えています。もちろん、勉強をして覚えたわけではありません。12星座の恋占いをテーマに制作された本楽曲。最大のハイライトは、キュートな世界観に強烈なインパクト与えているサビのフレーズ (12星座の学名の羅列) 。ライブ演奏時には、ファンが12星座の学名を大合唱することがデフォルトとなっており、乃木坂46作品の中でもとりわけ人気の高いライブ定番曲となっている。

20/46:太陽ノック (12thシングル 表題曲) <2015>
ライブにピッタリなエレキギターのリフで幕を開ける本楽曲は、オレンジジュースの甘酸っぱさとサイダーの爽快感を詰め込んだ乃木坂46印のアップチューン!魅力が解き放たれるライブ演奏時には、イントロからエンジン全開で繰り広げられるファンのコールが極上のスパイスとなり、ライブの熱気も一気に加速する。雲一つない晴天を音で表現するとこうなるのではないでしょうか?聴いているだけで笑顔になり、勇気をもらえる。乃木坂46を代表する最高の応援ソングです!

21/46:★ ジコチューで行こう ! (21thシングル 表題曲) <2018>
(夏曲を含む) 乃木坂46のアップテンポ楽曲の中で、個人的に群を抜いて最高傑作だと思っている作品があります。それが、この「ジコチューで行こう !」です。タイトルに使用されている「ジコチュー」とは「自己中心的」を省略した言葉であり、一般的には良い意味で用いられることはありませんが、本楽曲の中では、個性を際立たせる比喩表現として用いられており、褒め言葉として成立しています。自分(の可能性)を信じることの大切さを、ウィットに富んだ言葉で表現した歌詞の完成度もさることながら、私が最も感動したのはBメロのメロディーラインです。爽快感のあるイントロはもちろん、Aメロやサビも素晴らしいのですが、流れの中で雰囲気を一変させるBメロ部分を配置したことによって、本楽曲を音楽作品としてワンランク上へと押し上げています。「みんなに合わせるだけじゃ 生きてる意味も価値もないだろう」心に染みわたる言葉で彩られたオーラス部分は、本楽曲最大のハイライトであり、希望を抱きながら胸を熱くさせてくれる。

22/46:おひとりさま天国 (33thシングル 表題曲) <2023>
(初期メンバーが全員卒業し)新体制後初の夏曲は、トランス(ハウスから派生したダンスミュージックの一種)風のエッジの効いたサウンドで始まる意外な展開!「ライブ時の演奏を重要視して制作されたのでは!?」と思うほど、全体を通してオケの主張が強く、良い意味でも悪い意味でも乃木坂46らしさは感じられない。「ガールズルール(注⑥)」をリリースした時もそうでしたが、それまでの方向性とは違う作風を発表すると、少なからず否定的な声も聞こえてきます。ですが、現在の地位を維持するのではなく、挑戦し続けて更なる高みを目指すこの姿勢こそが乃木坂46の最大の魅力であり、トップランナーとしての強みだと思います。ファンのコールという最上級のアレンジが施されるライブ演奏を重ねていきながら、本楽曲が今後どの様な進化を遂げていくのか!? 今からとても楽しみです。


(注⑥:ガールズルール)・・・6thシングル 表題曲。初期を代表する夏曲であり、ライブには欠かせない盛り上げ必須の定番曲。
それまで不動のセンターだった生駒里奈さん以外のメンバー(白石麻衣さん)が初めてセンターに抜擢されたことで話題を集めた。


Mini Column:東京ドームの奇跡 -Music is like a dream-


2023年5月18日。この日は、乃木坂46のエースとして活躍し、グループ最後の一期生でもあった齋藤飛鳥さんの卒業コンサート最終日。2日間で63万件の応募があったプレミアムチケットを運よく手にした私は、ライブが始まるのを静かにじっと待っていました。ライブ開始まで20分を切り、続々と席が埋まっていく中、隣に座っていた男性二人組が次のような会話をしていました。「(ライブに足を運んだ人の中で)どのくらいの人が、乃木坂46のファンを卒業するんだろうね?」

私は、心の中で「ファンならそんな悲しいこと言わないでよ!」と思いましたが、彼らの主張もあながち間違いとは言えません。というのも、モーニング娘。がデビューして以降、メンバーを入れ替えながらグループを存続させるアイドルグループが多くなり、乃木坂46もその方式を採用しています。一番のメリットは、グループを半永久的に存続できることであり、それまで築き上げてきた歴史を守ることができます。しかしながら、避けられない試練が必ず訪れてしまいます。

その試練。言い換えれば、グループの未来を分ける分岐点はいつ訪れるのか?それは、グループを一から築き上げた初期メンバーが全員居なくなったときです。初期メンバーはそのグループの魂そのものであり、代わりなど存在しません。そのことを踏まえれば、先ほどの男性二人組の発言も全然不思議ではないのです。そのことに気づいた私は、急に緊張し始めました。何故なら、「今日のライブは、ある意味、乃木坂46のラストライブなのかもしれない。」と思ったからです。

そんな中、ついにライブが開演。真っ赤な衣装で登場した飛鳥さんはとても美しく、凛とした佇まいが印象的でした。私は、ワクワクと緊張感に包まれながら、声出し解禁となったライブを久しぶりに満喫。セットリストは飛鳥さんにまつわる楽曲が中心でしたが、(主役であるはずの)自分を引き立たせる演出ではなく、後輩(乃木坂46の未来を託す)メンバーを引き立たせている(一人一人紹介している)ような演出になっており、メンバー同士の絆が感じられる最高の内容でした。

最後の挨拶も終わり、ふと隣に意識を向けると、例の男性二人組の中の一人が、興奮しながら「俺らは、これからもずっと乃木坂46のファンで居続けような!」と言って目を輝かせていました。その言葉を聞いた瞬間、私は心の底から感動し、乃木坂46って本当に素晴らしいグループなんだと改めて思い知らされました。規制退場が続く間、私は言葉にできない高揚感とともに、メインステージを見続けていました。その時の微かに滲んだ光景は、今も心の中に焼き付いています。


Song Selection 5:乃木坂46カラーを確立させた天才クリエイター -杉山勝彦セレクション-


乃木坂46をはじめとする坂道シリーズ (メディア等では坂道グループとも称される) の魅力ある楽曲は、
才能溢れたクリエイター達によって製作され、表題曲ともなると数百曲もの候補から選ばれるそうです。

要するに、クリエイター側からすれば、
一曲でも選ばれれば名誉なことであり、自身の可能性を広げることにも繋がります。

そんな中、これまで25曲もの楽曲 (2024年2月現在) を乃木坂46に提供し、
あの秋本康さんはもちろん、ファンからも絶大な信頼を置かれている人物がいます。

その人の名は、杉山勝彦 (すぎやま かつひこ) 。
乃木坂46を輝かせる生粋のメロディーメイカーです。

杉山さんが手掛ける作品と、そうでない作品の一番の違いは何なのか?

その答えを導く重要なキーワードがあります。それは、"違和感" です。

詳しく説明していきましょう。

歌唱方法の一つに「ファルセット」というテクニックがあります。

「裏声」の一つにも数えられるこのテクニックは、
通常よりも息を多く使って高い音域を出すために使われる発声法。

地声との高低差、つまりは、違和感(ギャップ)を生み出すことで差別化を図っています。

杉山さんは基本的な音楽理論をベースにしながらも、そこにプラスαとして、
この違和感をリズム(譜割り)と旋律に加えながら、独自の作風を創り上げているのです。(注:全ての作品ではありません)

もちろん、この手法は誰にでもできることではなく、
さじ加減を間違えれば不協和音にもなりかねません。

聴く人によっては、この違和感を"未完成"な状態と捉えるかもしれませんが、
私から言わせれば、それこそが乃木坂46を輝かせる唯一無二の要素だと思っています。

10代~20代前半のメンバーが多くを占める乃木坂46は、
言うなれば人間として発展途上 (未完成) の状態であり、杉山作品と通じるところがあります。

"未完成"という要素が重なり合うことで共鳴が起こり、唯一無二の音楽作品へと変貌を遂げる。
杉山さんが手掛ける乃木坂46作品は、ある意味、奇跡のコラボレーションとも言えるでしょう。

次にご紹介するのは、
そんな「乃木坂46 × 杉山勝彦」コラボレーション作品の中でも、選りすぐりの8曲をセレクト!

そのどれもが本当に素晴らしく、乃木坂46作品を代表する楽曲ばかり。
年代が進むにつれて、杉山さんらしさが増していくのもポイントです。


23/46:制服のマネキン (4thシングル 表題曲) <2014>
「恋をするのはいけないことか?」女性アイドルグループの発言として相応しくないであろう言葉をサビ頭に配置し、それまでのイメージを一新させた本楽曲。マイナーキー(暗いイメージ)を多用した旋律に映える挑戦的なダンスサウンドは、デビュー時から継続していたフレンチポップスとは真逆なものになっている。杉山さんが手掛けてきた作品の中でも明らかに異彩を放っている本楽曲は、乃木坂46に新たな表現の可能性を切り開かせるきっかけとなった渾身の意欲作です。

24/46:★ 君の名は希望 (5thシングル 表題曲) <2015>
「自分の存在価値がわからない」「そもそも(周りは)自分の存在に気づいてくれているのだろうか?」孤独と共に生きてきた僕に、人を思うことの素晴らしさと慈しみの感情を教えてくれた"君"という存在は、僕にとっての"希望"そのものだ。文学作品を思わせるような美しい言葉(歌詞)の世界観と、ピュアさと切なさを兼ね備えた優しいメロディーが奇跡的に交差する「君の名は希望」。この女性アイドル史に残る大名曲は、メンバーとファンの絆を証明する楽曲でもあります。プロデューサーの秋元康さんも、杉山さんから本楽曲のデモテープを渡された際、「ようやく(乃木坂46を象徴する楽曲に)めぐり逢えた」と感動したそうです。センターを務めた生駒里奈さんをはじめ、オリジナルメンバーは全員卒業しましたが、思いを託された後輩メンバー達によって今も大切に歌い継がれています。

25/46:僕がいる場所 (1stアルバム リード曲) <2015>
「君のことを考えた 僕が死んだ日のことを... ずっとそばにいたいけど 別れはやってくる」本楽曲のオープニングとエンディングを飾る、衝撃的な言葉の羅列。煌びやかな女性アイドルのイメージと両極にある「生と死」をテーマにした本楽曲の歌詞の世界観に関しては、リスナーによって賛否が分かれると思いますが、杉山さんが紡いだこの美しい旋律に関しては、素晴らしいの一言に尽きます。ぜひフルコーラスで聴いてみてください!心の奥底にある感情が湧き上がります。

26/46:きっかけ (2ndアルバム リード曲) <2016>
表題曲ではありませんが、ファンの間ではリリース当初から名曲として知られており、あのMr.Childrenの桜井和寿さんもライブでカバーするほどの有名曲です。アコースティックギターを中心としながらも、イントロとアウトロに優しいピアノの音色を入れることで全体の温度を調節し、テンポの速さを緩和しています。杉山勝彦というメロディーメイカーの世界観を十二分に堪能できる本楽曲との出会いは、あなたと乃木坂46を結びつける "きっかけ" になるかもしれません。

27/46:★ サヨナラの意味 (16thシングル 表題曲) <2016>
番組の企画などで幾度となく開催されてきた、ファン投票による楽曲ランキング。その全てで第一位を獲得してきた超人気曲が、この「サヨナラの意味」です。本楽曲は、(乃木坂46の御三家の一人でもある) 橋本奈々未さんの最初で最後のセンター曲であり、卒業シングルでもあります。煌びやかなピアノ音から始まり、エレキギターとコーラスワークを巧みに配置した楽曲構成が本当に素晴らしく、前向きな歌詞の世界観と美しい旋律の両方に、切なさと強さを纏わせています。橋本さんが卒業した現在でも、ファンのサイリウムカラーが(橋本さんのサイリウムカラーでもある)緑一色に変わる洒落たライブ演出が定番となっています。

28/46:ありがちな恋愛 (4thアルバム リード曲) <2019>
サビはもちろん、イントロから杉山マジック全開でお届けする本楽曲は、乃木坂46が歌うために生まれてきたような作品であり、表題曲顔負けの完成度を誇る。琴線を震わせながら進行する主旋律が引き金となって、アップテンポながら妙に切なくなってしまう。杉山さんの非凡なメロディーセンスが凝縮されています。加えて、(本楽曲の世界観と完全に合致した) 齋藤飛鳥さんから始まる各パートの歌割りのバランスも完璧であり、本楽曲のポテンシャルを最大限に高めている。偶然か必然かは定かではありませんが、歌詞の中に杉山作品の中でも名曲として知られている、"きっかけ"と"サヨナラ(の意味)"という言葉が隠れています。

29/46:僕は僕を好きになる (26thシングル 表題曲) <2021>
美しいピアノと優雅なストリングスに優しく寄り添う極上のメロディーライン。メッセージ性の強い歌詞をエレガントに包み込むサウンドアレンジも最高です。「傷つくことを恐れず、自分の未来を切り開くために、今の自分を好きになる。」本楽曲の歌詞に触れたとき、人によって解釈は全然違ってくると思いますが、私はとても前向きな気持ちになりました。泣いても笑っても人生は一度きり。本楽曲を聴いて過ごす5分間が、多くの人にとっての永遠となりますように・・・

30/46:Monopoly (34thシングル 表題曲) <2023>
乃木坂46の未来に彩りを与える四期生の両エース (遠藤さくらさん・賀喜遥香さん) をWセンターに抜擢し、新体制で駆け抜けた2023年のラストを飾る本楽曲。他の杉山作品と比べるとテンポ設定が若干早く、疾走感を感じる作品となっているが、美しい旋律と上品な音色選びによって全体のバランスが調整されている。(現役メンバーの澄んだ声質を生かした) ボーカルを中心に聴くか、リズムを意識しながら聴くかで、この作品に対する印象は大きく変化するのかもしれません。


Song Selection 6:This is 乃木坂46クオリティ


他の女性アイドルグループには無い独自の世界観があり、
常にリスナー(ファン)の期待を裏切らない乃木坂46作品。

次にご紹介する楽曲は、
乃木坂46作品の中でも、特に感嘆した3曲をピックアップ。

サウンド及び楽曲構成で度肝を抜かれた「何もできずにそばにいる」と「逃げ水」。

そして、胸を打つ歌詞と、乃木坂46らしいアレンジが印象的な「悲しみの忘れ方」。

どれも、乃木坂46作品でしか味わうことのできない至高の音楽作品だと思います。


31/46:何もできずにそばにいる (9thシングル選抜メンバーによる別歌唱曲) <2014>
生の楽器で奏でられるロックサウンドにピアノとストリングスが絡み合う唯一無二の存在感。X JAPANを彷彿とさせる美しいアンサンブルが印象的な本楽曲は、「ロック×アイドルソング」の完成形と言っても過言ではありません。 乃木坂46作品にはロックテイストの曲が意外と多く、そのどれもが素晴らしいのですが、本楽曲の完成度は一歩二歩抜きん出ています。(二番終わりからの) 激しいギターソロからオーラスまでの一連の流れは、アイドルソングの常識を超越している。

32/46:悲しみの忘れ方 (12thシングル選抜メンバーによる別歌唱曲) <2015>
(2024年2月現在において) 女性アイドルとしての地位と人気を不動のものとしている乃木坂46。本業でもあるアイドル業はもちろんのこと、俳優やタレント、そしてモデルと、メンバーそれぞれが各方面で大活躍しています。皆さまの中には、「彼女たちは常にバラ色の人生なんだろう」と思う方もいることでしょう。信じられないことかもしれませんが、乃木坂46に加入する前のメンバーの多くは、人前に出ることはもちろん、人とのコミュニケーション自体が苦手だったり、中には、いじめにあっている子もいました。そんな子たちが自分自身の未来を変えるべく、乃木坂46のオーディションを受け、信頼できる仲間と出会いながら、沢山の努力を重ねて今輝いて(地位を得て)いる。乃木坂46作品で感動するのは何故なのか?それは、彼女たちが発する言葉の一つ一つに説得力があるからです。「迷ってるのは 私だけじゃないんだ」勇気をもらえる言葉と美しい旋律がバランスよく処方された本楽曲。悲しいことがあったとき、ぜひ聴いてみてください!

33/46:逃げ水 (18thシングル 表題曲) <2017>
(2017年8月9日リリース) カテゴリーとしては、夏曲に属する本楽曲。しかしながら、他の夏曲と比べると、明らかに異様な雰囲気を放っているのは明白です。ピアノの音とEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のコントラストが新鮮なイントロ。シンプルな(歌いやすい)主旋律に違和感を与える突然の転調。そして、サビ前のブレイク部分に挿入された「月の光(注⑦)」の一節。曲名にも使用した「逃げ水」の幻想的な世界観を、ここまで鮮やかに具現化した楽曲は、J-POPの長い歴史を見ても非常に稀です。夏の爽快感と夏の終わりを同時に感じさせるサウンドの裏側で、乃木坂46史上最も挑戦的なアプローチが光っている。


(注⑦:月の光)・・・クロード・ドビュッシー (偉大なクラシック作曲家) が作曲した
「ベルガマスク組曲」の一節 (第3曲) であり、ドビュッシーの中でも特に有名な作品。


Song Selection 7:個性が咲き誇る一輪の花 -ソロ楽曲セレクション-


限られたメンバーにしか与えられないソロ楽曲は、
歌唱するメンバーの個性にフォーカスを当てます。

他の乃木坂46作品と比べても存在感は別格であり、
それはまるで、独特な色彩で描かれた絵画のよう。

次にご紹介する3曲は、沢山あるソロ楽曲の中でも、
メンバーの個性(内面)が色濃く反映された作品になります。

個性が咲き誇る、オンリーワンの色彩を堪能してください。


34/46:強がる蕾 (深川麻衣 ソロ楽曲) <2016>
その愛くるしい笑顔と面倒見の良さから、"聖母"の愛称で(メンバーやファンから)慕われた深川麻衣さん。そんな深川さんの唯一のソロ楽曲でもある本楽曲は、自身がセンターを務めた「ハルジオンが咲く頃(卒業シングル)」のカップリング曲。優美で華やかさを前面に押し出した「ハルジオンが咲く頃」とは対照的に、素朴でシンプルなサウンドアレンジが施されている本楽曲は、華やかなアイドルの世界から離れる(本来の自分に戻る)深川さんの心模様を見事に表現している。

35/46:釣り堀 (西野七瀬 ソロ楽曲) <2016>
透明感のある色気と儚さが共存する西野七瀬さんの歌声は、多くの乃木坂46作品で聴くことができますが、(全編通して聴ける)ソロ楽曲での存在感は格別です。そんな西野さんのソロ楽曲は全部で6曲ありますが、特にオススメしたいのがこの「釣り堀」。リバーブを丁寧に効かせた歌声に、そっと寄り添うピアノの音。思い人からの連絡を待つ切ない心情をリアルに描いた歌詞。"西野七瀬"という唯一無二のボーカルを堪能できる本楽曲は、聴いているだけで本当に癒されます。

36/46:硬い殻のように抱きしめたい (齋藤飛鳥 ソロ楽曲) <2017>
少女のような無邪気さと、大人のクールさを兼ね備えたハスキーボイスが印象的な齋藤飛鳥さんの歌唱を堪能できる本楽曲は、ピアノを基調とした名バラード。(乃木坂46作品で数々の名曲を手掛けてきた) 杉山勝彦さんが紡ぐ美しいメロディーラインを彩る言葉の一つ一つに優しさが満ち溢れており、(リリース当時の) 飛鳥さんのセンチメンタルな心情を丁寧に映し出しています。それにしても、杉山さんが手掛ける作品と飛鳥さんの(歌声の)相性の良さは神がかっていますね。


Song Selection 8:ベスト オブ 期別楽曲


2024年2月現在、乃木坂46は三期生・四期生・五期生からなる36人のメンバーで構成されており、
乃木坂46を現在の地位まで押し上げた初期メンバー (一期生・二期生) は、誰一人残っていません。

結成13年目を迎え、本来であればグループの勢いにも多少の翳りが見えてくるものですが、
初期メンバーから託された思いを胸に、その勢いはとどまることなく進化し続けています。

(これは、個人的な感想ですが、、、)
乃木坂46ほど、世代交代がスムーズにいったグループは存在しないのではないでしょうか?

初期メンバーが卒業したことはもちろん寂しいですが、現役メンバーも負けてはいません。
それではここで、(卒業メンバーを含む) それぞれの期の特徴をおさらいしていきましょう。


一期生・・・2011年8月グループ結成。2024年2月現在、全員卒業。
グループの礎を築き、乃木坂46を現在の地位まで押し上げた一期生。
永遠に色褪せることのない、乃木坂46の魂とも言うべき存在である。

二期生・・・2013年3月加入。2024年2月現在、全員卒業。
実質的には乃木坂46初の後輩メンバーに当たるが、グループ結成から約1年半という短いスパンでの加入ということもあり、
一期生には後輩というよりも同志と思われていた。ダンスをはじめとする表現力に長けており、美しい容姿にも定評がある。

三期生・・・2016年9月加入。2024年2月現在、11名(1名卒業)在籍。
現在の乃木坂46を牽引する最上位生。梅澤美波キャプテンを中心に、一・二期生が紡いできた伝統を立派に継承している。

四期生・・・2018年11月加入。その後、2020年2月に追加で5名(新四期生)加入。2024年2月現在、14名(2名卒業)在籍。
四期生単体で別の坂道シリーズを作れるほど、才能にあふれたメンバーが揃っている。乃木坂46の未来とも言うべき存在。

五期生・・・2022年2月加入。国内のグループアイドルオーディション史上最多となる8万7852人の中から11名が選ばれた。
(加入後直ぐに表題曲のセンターを務めた) 中西アルノさんを中心に歌唱力の高いメンバーが多く、総じて歌声が素晴らしい。


さて、次にご紹介する楽曲は、
同期ならではの個性と絆が凝縮された期別楽曲の中から、
それぞれのベストと思えるものをピックアップしました。

そのどれもが素晴らしく、各期の魅力が詰まっています。


37/46:Against (一期生楽曲) <2018>
乃木坂46の歴史に燦然と輝く一期生メンバーの中でも、中心的な存在としてグループを牽引し続けた生駒里奈さん。そんな生駒さんの最後のセンター曲であり、乃木坂46の、いや一期生メンバーの堂々とした風格とカッコよさを遺憾なく発揮した本楽曲。結成当初に嫌になるほど味わったアゲインストの風を強さに変え、国民的アイドルグループへと押し上げた意地とプライド。グループ結成時からのかけがえのない絆が、歌詞と旋律の両方に絡み合う渾身のアップチューン!

38/46:★ アナスターシャ (二期生楽曲) <2020>
圧倒的な存在感を示す一期生とともに、グループの礎を築いてきた二期生メンバー。(色々な状況が重なってしまい) 不遇の二期と称されたこともありましたが、個性と人情味あふれる二期生が乃木坂46に与えた影響は計り知れません。そんな彼女たちに与えられた最後の二期生楽曲、それがこの「アナスターシャ」です。個人的に期別楽曲史上No.1だと思っている本楽曲。何かから解き放たれたような心地よいイントロに心を奪われ、ピアノとリズム隊のみのシンプルなAメロから憧れを想起させるBメロまでの流れも美しく、その後に訪れる未来(希望に満ち溢れたサビ部分)を際立たせている。全体を通して「みにくいアヒルの子(注⑧)」の物語を思わせるような楽曲構成となっており、二期生がこれまで歩んできた軌跡とも重なり合う。二期生メンバーの絆の深さと存在の尊さが伝わる作品です。

39/46:僕が手を叩く方へ (三期生楽曲) <2022>
本楽曲がリリースされた2022年8月。それまでグループを牽引してきた初期メンバー (一・二期生) も残り僅かとなり、本格的な世代交代が現実味を帯びる中、三期生に託された希望の光。この「僕が手を叩く方へ」という楽曲を初めて聴いたとき、三期生の存在の大きさを改めて実感。三期生が歌うからこそ心に響き、乃木坂46の未来に希望を抱くことができる。クラップ音が轟くライブ演奏時の一体感は、言葉では言い表せないほどの感動を生み、日常を忘れさせてくれる。

40/46:I see... (四期生楽曲) <2020>
ライブ演奏時には、イントロがかかった瞬間に歓声が上がるほどの超人気曲であり、良曲揃いの期別楽曲の中でも最高傑作との呼び声高い本楽曲。発表当時は、あの「SMAP」を彷彿とさせる楽曲として、SNSでも話題を集めた。1970年代のソウルミュージックを感じさせるリズムや、音階が上下するメロディーライン。何よりも、合いの手が入れやすい歌詞のバランスが素晴らしく、J-POPのお手本のような楽曲構成。個性が光るメンバーが集結する四期生に相応しい名曲です。

41/46:絶望の一秒前 (五期生楽曲) <2022>
ファンからの大いなる期待とともに、デビュー前から注目を浴びていた五期生メンバー。そんな彼女たちに与えられた最初の楽曲タイトルは「絶望の一秒前」。乃木坂46の清楚なイメージを覆すエッジの効いたタイトルなので、最初こそ違和感を覚えましたが、いざ聴いてみるとその完成度に思わず度肝を抜かれました。(オケの中心を担う) ピアノのリフをループしながら進行していく本楽曲は、シンプルなコード進行も相まって、まるで洋楽を聴いているような錯覚を覚えます。リズム隊を中心とした音色選びもセンスが良く、五期生メンバー特有の透明な歌声と完璧にマリアージュしている。まさに、原点にして頂点とも言うべき作品。


(注⑧:みにくいアヒルの子)・・・デンマークの代表的な童話作家・詩人であるハンス・クリスチャン・アンデルセン原作の有名童話。
(アヒルの群の中で)皆と違う黒い姿で生まれたひな鳥が、最後には美しい白鳥として立派に成長し、それまでの悲しみから解放される。


Bonus Song Selection:47番目のストーリー


本ジャーナル(乃木坂46を輝かせる46のストーリー)を執筆するにあたって、
最も困難を極めた作業が全楽曲(276曲)の中から46曲に絞りこむ楽曲の選定。

乃木坂46作品の魅力をダイレクトに伝えられる楽曲であることはもちろん、
いち音楽作品として、完成度の高い46曲を真剣に選ばせていただきました。

表題曲はもちろん、アンダー楽曲やユニット曲も選ぶのに苦労しましたが、
その中でも特に悩みに悩んだのが、二つの候補から選び抜いた五期生楽曲。

最終的には、最初の五期生楽曲でもある「絶望の一秒前」を選びましたが、
もう一つの候補であった「心にもないこと」も甲乙つけがたい作品でした。

なので、今回は特別に47番目のストーリーとしてご紹介したいと思います。


心にもないこと (五期生楽曲) <2023> (Lyrics:秋元康 Music:杉山勝彦)
作曲を担当した杉山勝彦さんのメロディーセンスが随所に散りばめられた本楽曲。初々しさと儚さで満たされた五線譜の音符に彩りを与える五期生の美しい声。優しいピアノとアコースティックギターのバランスもさることながら、中毒性のある五期生楽曲の中でも、楽曲に対する歌声のシンクロ性が本当に素晴らしい。個人的に最も凄いと思った箇所が、サビで数多く登場する「ああ」の部分。通常であれば不必要とも思えるたった2音の存在が、主旋律に安らぎを与えている。


Song Selection 9:マイ フェイバリット セレクション


最後は、マイ フェイバリット セレクション。

気づいたらよく再生しているお気に入りの5曲をご紹介します。


42/46:走れ! Bicycle (3rdシングル 表題曲) <2012>
サウンド的にはフレンチポップスがベースとなっているが、音色一つ一つに乃木坂46流のエスプリが感じられる。楽曲のクオリティは言うまでもありませんが、何よりも素晴らしいのは、各メンバーのポテンシャルを極限まで引き出しているキュートな振り付け(ライブパフォーマンス)です。シンプルな振り付けなので、メンバー一人一人の個性が出やすく、見ていてとても晴れやかな気持ちになります。耳はもちろんのこと、目でも楽しませてくれる極上のアイドルソングです。

43/46:サイコキネシスの可能性 (ユニット曲) <2013>
初めて本楽曲を聴いた際、純粋な日本のポップソングとして「なんて清々しくて上質なメロディーなんだ!」と素直に感動しました。奥手で内向的な主人公が、サイコキネシス (念力:超能力の一種) を使ってでも意中の人を振り向かせたいと願う健気な詞の世界観を、可憐な歌声とピュア感あふれる音色で包み込みます。乃木坂46を纏う澄んだ空気感をそのまま音に変換したようなアレンジは必見であり、単なるカップリング曲として埋もれさせるのは勿体ないくらいの神曲です。

44/46:制服を脱いでサヨナラを・・・ (ユニット曲) <2015>
本楽曲は、(リリース当時は現役の女子高生だった) 齋藤飛鳥さんと星野みなみさんのデュオによる最初で最後のユニット曲。「女子高生」という名の鎧を脱ぎ、大人の階段を上ることへの不安を感じながらも、希望を持って突き進むことの大切さを可愛らしく歌い上げています。乃木坂46作品と出会ってからというもの、それまで抱いていたアイドルソングのイメージを覆す楽曲の数々に魅せられてきました。ですが、本楽曲のような正統派のアイドルソングも数多く存在します。その中でも、群を抜いてクオリティが高い本楽曲。主旋律の良さはもちろん、アレンジに関しても非の打ちようがなく、特にヴァース部分のエコーが絶品です。

45/46:キャラバンは眠らない (ユニット曲) <2018>
輝ける未来を表現したかのようなキラキラしたイントロが印象的な本楽曲。歌唱メンバーは、齋藤飛鳥さんを中心に、次世代を担う若手メンバーで構成された。アイドルソングとしての華やかさだけでなく、聴いている人に希望を与えるような初々しいサウンドアレンジが本当に素晴らしく、聴くたびに元気をもらえる。女性アイドルグループの命運を左右する世代交代という問題を乃木坂46流に解釈しながら、自信をもって前に進むことの重要性を説いているのかもしれません。

46/46:他人のそら似 (全メンバー歌唱によるグループ結成10周年記念楽曲) <2021>
グループの結成10周年を記念して制作された本楽曲は、乃木坂46を象徴する上品なストリングスの音色とギターのハーモニーが絶妙に絡み合うポップチューン!ベースは乃木坂46らしいサウンドとなっているが、ホーンやギターソロを効果的に加え、豪華さを際立たせている。加えて、ライブ演奏時の演出も素晴らしく、デビューシングルから27thシングル「ごめんねFingers crossed」までの振付が順番通りに盛り込まれており、ファンの涙腺を刺激する粋な演出となっている。


おわりに、、、


初期メンバー (一期生・二期生) 全員のグループ卒業。

公式ライバルグループ (僕が見たかった青空) の誕生。

そして、つい先日発表された、乃木坂46六期生オーディション。

この一・二年で乃木坂46を取り巻く状況は大きく変化しました。

乃木坂46のこれからがどうなっていくのか想像もつきませんが、
確実に言えるのは、乃木坂46の歴史はまだまだ続くということ。

はたしてどれくらいの感動に出会えるのか、本当に楽しみです。


ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
(大好きなアーティストなので、力が入りすぎてしまいました 笑)


Song Credits

All Lyrics:秋元康

Music

1:福森秀敏
2:すみだしんや
3:シライシ紗トリ
4:小田切大
5:川浦正大
6:Hiroki Sagawa
7:Akira Sunset・APAZZI
8:渡邉俊彦
9:Ryota Saito・TETTA
10 & 21:ナスカ
11:長谷川湊
12:三輪智也
13:白土亨
14:Akira Sunset・野口大志
15・16 & 38:中村泰輔
17:横健介
18:押田誠
19:SoichiroK・Nozomu.S
20:黒須克彦
22:Akira Sunset・丸谷マナブ・ha-j・遠藤ナオキ
23~30・36:杉山勝彦
31:角野寿和
32:近藤圭一
33:谷村庸平 (サビ前のブレイク部分:Claude Achille Debussy)
34:大貫和紀・河原レオ・高木龍一
35:Bush-I
37 & 44:古川貴浩
39:藤谷一郎
40 & 46:youth case
41:ツキダタダシ
42:Shusui・伊藤涼・木村篤史・ヒロイズム
43:杉山勝彦・小倉しんこう
45:CottON

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