Mar 11, 2021
50年後も聴き続けたい美しい旋律 #02「ENDLESS RAIN」
50年後も聴き続けたい美しい旋律
今回は、永遠に色褪せない名曲を生み出し続ける、YOSHIKIさんの原点とも言うべき珠玉のバラード「ENDLESS RAIN」をご紹介します。
降り続く雨の中に まるで一筋の光が差し込むような優しいプロローグ
美しいピアノの音色とともに 心に響き渡る力強いメッセージ
「ENDLESS RAIN」は、間違いなく希望の歌です。
皆さまの中には、この"希望の歌"という解釈に対して疑問を抱く人も少なくないと思います。「ENDLESS RAIN」という曲名は勿論のこと、歌詞全体を見渡しても"希望"を連想させる明るいフレーズが一切ないからです。例えば、曲名を「RAIN」として"止まない雨はない"のようなニュアンスの歌詞にすれば、リスナーの方にも明るいイメージとして伝わりやすいのだろうとは思います。ただそうすると、YOSHIKIさんが本当に伝えたいメッセージとのズレが生じてしまうのでは!? と思えてなりません。
"止まない雨はない"という内容の歌詞にした場合「この雨もいつかは止むのだから、それまで待っていよう!」というニュアンスになり、"そこに立ち止まる"という思考が強くなってしまいます。おそらくYOSHIKIさんは「たとえ苦しくても ここに立ち止まっていては何も変わらない。だから前に進むしかないんだ!」ということを強く伝えようとしたのではないでしょうか!?
そう解釈すると、最初の歌詞が「I walk ~」ではなく「I'm walking ~」と進行形になっているのもうなずけます。
TVの朝の占いで「本日の出会い運は絶好調!」と示されても、一日中家から出なければ、誰とも出会うこと (何も変わること) なく一日が終わってしまいます。つまりは「何もしなければそれ以上悪くなることはないが、良くなることもない。」ということです。歌詞全体をあえて悲哀の色で染め上げて、曲が進む (時が流れる) につれてメロディーで希望を奏でる。そうすることで、リスナーに "希望への道しるべ" を伝えようとしたのではないでしょうか!?
幼少期にお父様を亡くされ、悲しみと怒りの狭間で途方に暮れていたときにロックと出会い、少しずつ希望を見出していったYOSHIKIさん自身のリアルな体験が生んだ力強いメッセージが「ENDLESS RAIN」には込められていると思うのです。
もちろん、これは私自身の勝手な解釈であり、もっと深い意味が込められているのかもしれません。ただ、あの優しさに満ち溢れた美しい旋律を聴いていると、こう思わずにはいられません。私はこれからも「ENDLESS RAIN」を希望の歌として、聴き続けていきたいと思っています。
そして、
音楽的な視点から「ENDLESS RAIN」の一番の聴きどころをお伝えしようと思います。
この楽曲は「Aメロ→A'メロ→サビ」という構成になっています。A'メロからリズム隊が加わるのですが、この時の"スネアドラム"の音が一番の聴きどころです。一般的なスネアの音と比べても、ベロシティ (音の強さ) とリバーブレベル (残響音) が明らかに大きいのです。最初に聴いた時に思わず「えっ!」と声が漏れてしまったほど... 。邦楽・洋楽含めてこれまで数えきれない程の楽曲を聴いてきましたが、バラードでここまで大きいのは後にも先にも聴いたことがありません。
バックの演奏に関しては、
ボーカルを際立たせるように構築するのが一般的です。
演劇で主役よりも目立つ脇役がいたら怒られてしまいますよね?! 笑。
このことを、誰よりも熟知しているはずのYOSHIKIさんが、
なぜこのミックスダウン (マスタリング前の最終ステップ) でOKを出したのか!?
「ENDLESS RAIN」がリリースされた当時 (1989年) の日本の音楽業界は、まだまだ歌謡曲が全盛であり、ロック音楽に対するイメージも、お世辞にも良いとは言えない時代でした。YOSHIKIさんの中では「ENDLESS RAIN」を単なるバラードではなく、ロックバラードとして打ち出し、ロックというジャンルを日本中に浸透させようとしていたのではないかと思います。
スネアの音に耳を澄ませて「ENDLESS RAIN」を聴いてみてください!これをロックと表現しないで何と表現できるでしょうか!?
永遠を感じさせる旋律の中で響き渡るロックの魂!これがXの音です。
この楽曲が日本の音楽シーンに与えた影響は非常に大きいと思います。
脳天に響くあのスネアの音が、それ以降のバンドマンの道を広げたと言っても過言ではないのですから・・・
もちろん、このある意味超攻撃的なアレンジは全てのロックバラードで成立するものではありません。スネアドラムの音にも負けないToshlさんのボーカル力と、あの美しい旋律があればこそです。サビ初めのたった3音だけで、しっかりと人の心に響かせることができる楽曲には滅多に出会えるものではありません。
そういった意味では、奇跡の一曲なのかもしれません。生きている間に出会うことができて本当に良かったと思います。
最後に、
YOSHIKIさん自身が好きな言葉であり、2021年の今だからこそ心に響く素敵な言葉を、EarCOUTUREで出会えた全ての人に贈ります。
God will never give you more than you can bear. ~神は 耐えられない試練を 人には与えない~
ENDLESS RAIN - X JAPAN (1989)
Lyrics:YOSHIKI / Music:YOSHIKI
今回は、永遠に色褪せない名曲を生み出し続ける、YOSHIKIさんの原点とも言うべき珠玉のバラード「ENDLESS RAIN」をご紹介します。
降り続く雨の中に まるで一筋の光が差し込むような優しいプロローグ
美しいピアノの音色とともに 心に響き渡る力強いメッセージ
「ENDLESS RAIN」は、間違いなく希望の歌です。
皆さまの中には、この"希望の歌"という解釈に対して疑問を抱く人も少なくないと思います。「ENDLESS RAIN」という曲名は勿論のこと、歌詞全体を見渡しても"希望"を連想させる明るいフレーズが一切ないからです。例えば、曲名を「RAIN」として"止まない雨はない"のようなニュアンスの歌詞にすれば、リスナーの方にも明るいイメージとして伝わりやすいのだろうとは思います。ただそうすると、YOSHIKIさんが本当に伝えたいメッセージとのズレが生じてしまうのでは!? と思えてなりません。
"止まない雨はない"という内容の歌詞にした場合「この雨もいつかは止むのだから、それまで待っていよう!」というニュアンスになり、"そこに立ち止まる"という思考が強くなってしまいます。おそらくYOSHIKIさんは「たとえ苦しくても ここに立ち止まっていては何も変わらない。だから前に進むしかないんだ!」ということを強く伝えようとしたのではないでしょうか!?
そう解釈すると、最初の歌詞が「I walk ~」ではなく「I'm walking ~」と進行形になっているのもうなずけます。
TVの朝の占いで「本日の出会い運は絶好調!」と示されても、一日中家から出なければ、誰とも出会うこと (何も変わること) なく一日が終わってしまいます。つまりは「何もしなければそれ以上悪くなることはないが、良くなることもない。」ということです。歌詞全体をあえて悲哀の色で染め上げて、曲が進む (時が流れる) につれてメロディーで希望を奏でる。そうすることで、リスナーに "希望への道しるべ" を伝えようとしたのではないでしょうか!?
幼少期にお父様を亡くされ、悲しみと怒りの狭間で途方に暮れていたときにロックと出会い、少しずつ希望を見出していったYOSHIKIさん自身のリアルな体験が生んだ力強いメッセージが「ENDLESS RAIN」には込められていると思うのです。
もちろん、これは私自身の勝手な解釈であり、もっと深い意味が込められているのかもしれません。ただ、あの優しさに満ち溢れた美しい旋律を聴いていると、こう思わずにはいられません。私はこれからも「ENDLESS RAIN」を希望の歌として、聴き続けていきたいと思っています。
そして、
音楽的な視点から「ENDLESS RAIN」の一番の聴きどころをお伝えしようと思います。
この楽曲は「Aメロ→A'メロ→サビ」という構成になっています。A'メロからリズム隊が加わるのですが、この時の"スネアドラム"の音が一番の聴きどころです。一般的なスネアの音と比べても、ベロシティ (音の強さ) とリバーブレベル (残響音) が明らかに大きいのです。最初に聴いた時に思わず「えっ!」と声が漏れてしまったほど... 。邦楽・洋楽含めてこれまで数えきれない程の楽曲を聴いてきましたが、バラードでここまで大きいのは後にも先にも聴いたことがありません。
バックの演奏に関しては、
ボーカルを際立たせるように構築するのが一般的です。
演劇で主役よりも目立つ脇役がいたら怒られてしまいますよね?! 笑。
このことを、誰よりも熟知しているはずのYOSHIKIさんが、
なぜこのミックスダウン (マスタリング前の最終ステップ) でOKを出したのか!?
「ENDLESS RAIN」がリリースされた当時 (1989年) の日本の音楽業界は、まだまだ歌謡曲が全盛であり、ロック音楽に対するイメージも、お世辞にも良いとは言えない時代でした。YOSHIKIさんの中では「ENDLESS RAIN」を単なるバラードではなく、ロックバラードとして打ち出し、ロックというジャンルを日本中に浸透させようとしていたのではないかと思います。
スネアの音に耳を澄ませて「ENDLESS RAIN」を聴いてみてください!これをロックと表現しないで何と表現できるでしょうか!?
永遠を感じさせる旋律の中で響き渡るロックの魂!これがXの音です。
この楽曲が日本の音楽シーンに与えた影響は非常に大きいと思います。
脳天に響くあのスネアの音が、それ以降のバンドマンの道を広げたと言っても過言ではないのですから・・・
もちろん、このある意味超攻撃的なアレンジは全てのロックバラードで成立するものではありません。スネアドラムの音にも負けないToshlさんのボーカル力と、あの美しい旋律があればこそです。サビ初めのたった3音だけで、しっかりと人の心に響かせることができる楽曲には滅多に出会えるものではありません。
そういった意味では、奇跡の一曲なのかもしれません。生きている間に出会うことができて本当に良かったと思います。
最後に、
YOSHIKIさん自身が好きな言葉であり、2021年の今だからこそ心に響く素敵な言葉を、EarCOUTUREで出会えた全ての人に贈ります。
God will never give you more than you can bear. ~神は 耐えられない試練を 人には与えない~
ENDLESS RAIN - X JAPAN (1989)
Lyrics:YOSHIKI / Music:YOSHIKI