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アニソンを聴こうよ! 未来はきっと明るくなるから

未知のウイルスに、全世界が振り回された2020年の終わり。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が、
日本映画 (邦画・洋画合わせて) の歴代興行収入1位の記録を、19年ぶりに塗り替えました!

エンターテインメント業界が大打撃を受ける中での記録更新。
何よりも驚いたのは、アニメ映画がベスト10の中で半分の5作品を占めているという事実でした。

日本の音楽は世界基準になれるのか」の中でも申し上げましたが、
「漫画・アニメーション」は、日本が世界に誇る素晴らしい文化です。

大切なことを教えてもらった人も多いのではないでしょうか!?
まさに、日本の教育において、最高の教材とも言えますね。

今思えば、私自身も、最初に夢中になった音楽は、
アニメソング (以下:アニソン) だったのかもしれません。

あらゆる世代のリスナーを惹きつける、アニソンの魅力とは何なのか!?

個人的にどうしても気になってしまい、
新旧交えたありとあらゆるアニソンを、改めて聴いてみました。
(二か月かけてみっちり聴きました 笑)

子どもの頃によく見ていたアニメの主題歌には懐かしさを覚え、新たに巡り合えた楽曲の中には、心震わせるものもありました。

時代が進むにつれて、楽曲のトレンドが変化していく流れも面白く、とても有意義な時間を過ごせたと思います。(アニソンありがとう!)

アニソンの一般的なイメージは、
"キャッチーなメロディーで、子ども向けの楽曲"という認識だと思います。

確かに昔のアニメ (1960〜70年代) は、子どもをメインターゲットにしたものが多く、それに関連する商品も子ども向けに作られているものがほとんどでした。ですが、「機動戦士ガンダム」のような、リアリズムを描く作品が増え始めた1980年代以降は、J-POPアーティストの楽曲がアニメの主題歌に起用されることも多くなり、深夜帯のアニメが増え始めた1990年代以降は、アニソン自体も大きな変化を遂げていくことになります。

時代が進むにつれてアニメーションの技術も向上し、
使用される音楽にも、自然と進化することを求められるようになったからです。

1990年代は、まさにアニソンにとっての変革期と言えるでしょう!

その中でも、次にご紹介する2曲は、
ターニングポイントになったとも言える代表的な作品です。

・残酷な天使のテーゼ -「新世紀エヴァンゲリオン」OPテーマ
・Tank! -「カウボーイビバップ」OPテーマ

「残酷な天使のテーゼ」は、平成を代表するアニソンとしてご存じの方も多いと思います。神秘的な歌詞と、一瞬でリスナーの心を掴むキャッチーなメロディーとのコントラストが絶妙なまさに神曲。深夜帯の再放送から火が付いた「新世紀エヴァンゲリオン」は、今では当たり前となった深夜アニメのニーズを見出した最初の作品と言えますね。(「残酷な天使のテーゼ」の音作りについての考察をご覧になりたい方は、コチラの記事をご一読ください。)

「Tank!」は、ジャジーな雰囲気が最高にお洒落なインストゥルメンタル楽曲。サントラを手掛けた菅野よう子さんは、ジャズだけではなく、多彩なジャンルの音楽を取り入れ、それまでのアニメーションの世界にはない独特なスタイルを築きました。アニメサントラの潮流 (常識) を変えた第一人者と言えるでしょう。

これら2作品の最も大きな功績は、
"大人が楽しめる・大人だから楽しめる"という新たなニーズを開拓し、
"アニメ・アニソン=子ども向けの作品"というイメージを一新したことです。

声優アーティストや、キャラクターソングがフューチャーされ始める、
2000年代以降のアニソン業界においても、影響を与えたことはまず間違いありません。

映像技術や音楽表現の創造性がどんどん進化する一方で、
唯一変わらなかったことが一つだけあります。

それは、映像と音楽の関係性です。

"どちらか一方が主役で、片方が脇役"ではなく、
"50対50"という関係性 (調和) が、常に保たれているのです。

今回、色々なアニソンを聴いて最も印象に残ったことは、
(同じ曲でも) 曲だけで聴くのと、アニメの映像込みで聴くのとでは、受け取る印象が変わってきてしまうという発見でした。

このことを、もう少し分かり易く表現するならば、
アニソンは楽曲 (音楽) だけでは未完成品だということです。

人は音楽を聴くと、その曲にまつわる思い出を思い浮かべてしまうことがあります。

しかしながら、アニソンに限っては、
思い出よりも、その曲が使用されたアニメの映像を真っ先に思い浮かべませんか!?

カラオケでアニソンを歌う際、必ずと言っていいほど盛り上がるのは、
(そこにいる皆が) 同じアニメの映像を思い浮かべる共通認識によって、一体感が生まれるからです。

「ドラマや映画の主題歌でも同じことが言えるのでは!?」と思う方もいると思いますが、実写となると少々ニュアンスが変わってきてしまいます。

リアリティーを表現するドラマや映画は、対象物に対するイメージが極端に強調されてしまうので現実味が増し、現実 (自分) の世界と重ね合わせてしまいます。逆に、アニメーションの場合は、いい意味でリアリティーを求めないので神秘性が増し、多くの方々に作品イメージを共有させることができます。

この 「いい意味でリアリティーを求めない神秘性」を纏うことによって、
独特の雰囲気を生み出し、それがアニソンにもシンクロしていくのです。

「あの頃は、良かったなぁ。」

理想と現実のギャップに苦しみ、
明るい未来を夢見ていた頃の自分に思いをはせる。

そんな時は、アニソンを聴いて、
ちょっとだけ現実逃避するのも悪くないです。

馴染み深い音楽に触れることで初心にかえり、
物事を見つめ直す良いきっかけになるかもしれません。

時に現実を忘れさせてくれる非現実的な世界観が、
心のオアシスとなり、夢を見ることの素晴らしさを思い出させてくれます。

人間として生きている以上、楽しいときもあれば、辛く、苦しいときも沢山あります。

大事なのは、その全てが自分の人生であり、
その道を選択したのは他でもない、自分自身だということです。

アニソンが多くの人々を惹きつける理由。

それは、自分自身を、今一度見つめ直すときの応援歌として、
常に近くで寄り添い続けてくれるからではないでしょうか!?

未来とは常に、自分自身が作る物語。

光を求めている今の時代だからこそ、アニソンを聴いてみませんか?
これからの未来が、明るくなることを信じて・・・


ここからは、
新たに巡り合うことができたアニソンの中から、
特に印象に残った3曲をご紹介したいと思います。

・Hello Alone -「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」EDテーマ

(アニメの中の) 二人のヒロイン (雪ノ下雪乃・由比ヶ浜結衣) によるデュエット曲。
曲調は、"Hello Alone" というタイトルからは想像できないほど明るく、希望に満ちたアレンジとなっています。

(個人的な解釈ですが) 過ぎてしまった過去 (後悔) を表現するのではなく、
「自分が変わらなきゃダメなんだ!」という、未来を見据えた前向きな気持ちを音で表現したのでしょう。

後ろ向きな歌詞と、疾走感を感じさせる前向きなアレンジの対比が、
"コロナウイルスに翻弄される現在の状況" と "アフターコロナの先にある未来" のように感じられ、聴いていてとても清清しい気持ちになりました。

特に感動したのは、ドラムセッション。
「ロックバンドの楽曲ですか!?」と錯覚するほど、いい意味で悪目立ちしています 笑。

可愛らしいボーカルとの対比が、クセになること間違いなし!
最高にクールな楽曲なので、ぜひ一度聴いてみてください。

・光るなら -「四月は君の嘘」OPテーマ

アコースティックギターとホーンの音色がキラキラと輝く、心躍らせるポップチューン。

サイダーのような爽快感と、
オレンジジュースのような甘酸っぱさを兼ね備えた、
男女混合のボーカルパフォーマンス (ハーモニー) が最高です!

サビの「暗闇も光るなら 星空になる」という歌詞に、とても勇気づけられました。

代わり映えの無い毎日にうんざりしている時に、
ぜひ聴いていただきたい一曲です。

・Agapē -「円盤皇女ワるきゅーレ」劇中歌

初めてこの曲を聴いたとき、心が震えました!

A・Bメロとサビのアレンジの濃淡 (対比) が凄まじく、
歌詞とメロディーの両方が胸に突き刺さります。

Would you call me if you need my love ?
どこにいたって聞こえる
君がくれる Agapē
力のかぎり Dive!

(6回登場する) 同じサビの歌詞に、
それぞれ意味を持たせる圧倒的な表現力。

「アニソンでこんなにも素晴らしい曲があったのか!?」と、本当に感動しました。

ある意味、言葉での解説が難しい楽曲とも言えますね。
「素晴らしい作品を、耳と心で感じてください!」としか言いようがありません。

実はこの楽曲、平成アニソン大賞において、
あの「残酷な天使のテーゼ」とともに、"平成アニソン大賞 ベスト楽曲" に選ばれております。

名実ともに、アニソンの歴史に名を残す超神曲。
出会うことができて、本当に良かったと心から思えます。

ちなみにですが、
「Agapē」からの「紅蓮華」は最高です!

鬼滅の刃ファン及び、LiSAさんファンの方々には、この流れで是非とも聴いてほしいです!

(タイトルの「Agapē (アガペー)」とは、ギリシャ語で "無償の愛" を示す言葉だそうです。)

3曲とも素晴らしい作品です。
皆さまの未来を彩る音楽になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


♦ SONG CREDITS ♦

残酷な天使のテーゼ - 高橋洋子 (1995)
Lyrics:及川眠子 / Music:佐藤英敏

Tank! - Yoko Kanno & The Seatbelts (1998)
Music:菅野よう子

Hello Alone - 雪ノ下雪乃 (CV:早見沙織) & 由比ヶ浜結衣 (CV:東山奈央) (2013)
Lyrics:藤林聖子 / Music:黒須克彦

光るなら - Goose house (2014)
Lyrics:Goose house / Music:Goose house

Agapē - メロキュア (2002)
Lyrics:岡崎律子 / Music:岡崎律子

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