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女性ロックの粋な愉しみ方

「女性の方がロックンロール (以下:ロック) を歌う」

多様性が当たり前のように認められつつある現代において、
女性の方がロックを歌うことは、もはや珍しくありません。

私自身、昔から、女性だからとか男性だからという理由で、
物事の在り方を安易に決めつけてしまうことに少なからず疑問を感じていました。

ですから、女性の方が自由にロックを歌うことはもちろん、
男性の方が当たり前のように美容にこだわることも素敵なことだと思っています。

当たり前と相反することで生まれる(気付ける)新たな魅力!

今回のジャーナルでは、王道とされる男性ロックではなく、
「女性ロック」だからこそ愉しめるマニアック(粋)な聴き方を解説していきます。


愉しみ方 其ノ壱「女性ボーカルの低音域を愛でる」


女性ボーカルと男性ボーカルを比べたとき、
違いが最も顕著に表れるのが歌唱時における音域の広さです。

女性の方は男性よりも声帯が短く細いので、
男性よりも地声が高く、必然的に音域の広さにも差が出ます。

高音域を得意とする女性ボーカルの利点は、
あらゆるジャンルに対応できる守備範囲の広さにありますが、
唯一苦手とされているジャンルが低音域を重要視するロック。

もちろん、高い声で奏でるロックも素晴らしいのですが、、、

重低音がキーとなるロックには、やはり低い声が必要不可欠!

女性ロックンローラーは、ある意味、貴重な存在と言えます。

だからこそ、、、

女性が奏でるロックを聴くときには、
女性ボーカルの低音域を意識(注目)して聴いて欲しいのです。

お腹から声を響かせることで生み出される綺麗な低音ボイス。
男性ボーカルでは聴くことのできない独特の魅力があります。


愉しみ方 其ノ弐「リズムをいつも以上に愛でる」


音楽にとって最も重要なもの。それはリズムです。

以前に、EarCOUTURE JOURNALでも書きましたが、
このことは世界的に見ても常識であると断言できます。

全てのジャンルにおいて、リズムは重要になりますが、
その中でも特に顕著なジャンルがロックだと思います。

なぜならば、ロックは基本、生音で奏でるものであり、
リズムを意識して演奏をしなければならないからです。

ロックにとってリズムとは、
ある意味、旋律以上の存在と言えるかもしれませんね!

ボーカルの低音域はもちろん、リズムも同様に愛でる。
ロックを聴く際には、常に意識してほしいと思います。


愉しみ方 其ノ参「女性が描く詞の世界観に思いを馳せる」


女性ボーカルのロックバンドの場合。

(演奏メンバーが女性・男性問わず)
ボーカルの方 (女性) が歌詞を書くことが非常に多いです。

女性特有の繊細な歌詞の世界観と、
荒荒しいロックサウンドが交差する絶妙なコントラスト。

音そのものに嘘偽りのないロックサウンドは、ある意味、
言葉をダイレクトに伝えられる最良のBGMとも言えます。

「リズムを意識しろ」と言っておきながら変な話ですが、
女性ロックだからこそ描ける世界観も確実に存在します。

歌詞カードを見ながら楽曲 (女性ロック) の世界観に浸る。

たまには、こういう聴き方も悪くないかもしれませんね!


愉しみ方 其ノ肆「日本の女性ロック史に輝く名曲を嗜む」


最後は、
日本の女性ロック史に輝く名曲をご紹介したいと思います。

今回は、個人的に大好きな1980年代の中から選りすぐりの5曲をセレクトしました!

ちなみにですが、、、

ご紹介する楽曲の発売年を調べてみたところ、
偶然にも5曲中4曲が1989年発表の作品と判明。

この年は、X (現:X JAPAN) の「紅」や、
COMPLEXの「BE MY BABY」などもリリースされており、日本ロック史に残る一年。

(楽曲そのもののクオリティはもちろん)
楽曲の中で存在感を放つ楽器の音色がどれも素晴らしいので、
ボーカルはもちろんのこと、オケ部分も注意を払って聴いていただければ幸いです。

ちなみにですが、全曲において、女性の方が作詞しています。

それでは、
日本が誇るスペシャルな女性ロックをぜひ堪能してください!

注:ご紹介する楽曲の順番は、発売年 (年が同じ場合は月または日付) の古い順とする。


フレンズ - REBECCA <1985>
(ソロ・バンド問わず日本にロックが浸透し始めた)1980年代に発表された楽曲群の中でも、後世に語り継がれる名曲として多くの人の心に刻まれている本楽曲。リバーブ (音に空間的な深みを与えるエフェクター) を強めにかけたこの時代特有のサウンドが、唯一無二の歌声を持つNOKKOさんのボーカルを包み込みます。現代の音 (アレンジ) を聴き慣れている人にとっては違和感を感じるかもしれませんが、一つの時代を席巻した音として永遠に色褪せない楽曲だと思っています。

DEAR FRIENDS - PERSONZ <1989>
この世に数多く存在するロックの名曲。世界観こそ各アーティストで異なりますが、共通する点が一つあります。それは、ギターリフがどれも素晴らしいこと。カラッとしたスネアドラムと絡み合う本楽曲のギターリフは、シンプルでありながらもパンチ力があり、ボーカルを務めるJILL(ジル)さんの歌声とも相性抜群!(ギターリフを聴いただけでその時代にタイムスリップさせてしまうような) この魔法がかった80'sロックの名曲を、令和世代の方にもぜひ知っていただきたい!

Return to Myself ~ しない、しない、ナツ。- 浜田麻里 <1989>
日本が誇るメタル・クイーンとして、熱狂的なファンが多い浜田麻里さん。そんな浜田さんの最大のヒット曲でもある本楽曲は、高揚感MAXのロックチューン!ハードロックの世界では珍しいキャッチーな (ポップスの要素を兼ね備えた) 旋律が、代名詞の重厚なメタルサウンドに爽やかさとワクワク感をもたらしている。煌びやかなサビに繋がるヴァース部分 (サビに入るまでの導入部分) を少ない構成にすることで、楽曲全体に統一感を持たせており、二番終わりのギターソロにもサビ同様の煌びやかさを纏わせている。未だ衰えることの無い圧倒的な歌唱力とともに、本物の歌手が奏でる純粋なジャパニーズロックを堪能してください!

Diamonds - プリンセス プリンセス <1989>
女性のみで構成されたバンドの中で、商業的に最も成功したグループと言っても過言ではないプリンセス プリンセス (通称:プリプリ) 。数ある名曲の中でも、最大のヒット曲として知られている本楽曲は、ロックとポップス (の要素) を融合した不朽の名作として知られており、その後のバンドサウンドに影響を与えた。キャッチーなメロディーラインが注目されがちだが、個人的には、規則的に聴こえてくるベース音が本楽曲の肝だと思っており、全体のバランスを整えている。

WOMAN - アン・ルイス <1989>
「六本木心中」や「あゝ無情」が大ヒットしたアン・ルイスさん。世間一般的にはハードロックのイメージが強いと思いますが、個人的には、ロックバラードに素晴らしく映える歌声の持ち主だと思っています。中でも、この「WOMAN」はまさに別格であり、女性ロックバラードの頂点と言っても過言ではありません。(女性としてのプライドを歌い上げる) アン・ルイスさんの歌声を支えるエレキギターとスネアの音色が本当に素敵なので、ぜひ注目して聴いてみてください!


おわりに、、、


世界的な音楽ジャンルとして確立しているロック。

世代や性別、そして国境を越えた魅力があります。

今回は、女性ロックにフォーカスを当てましたが、
男性ロックにも素晴らしい楽曲が数多くあります。

本ジャーナルをきっかけにして、
ロックの魅力に気づいていただければ嬉しいです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


Song Credits

フレンズ【Lyrics:NOKKO Music:土橋安騎夫】
DEAR FRIENDS【Lyrics:JILL Music:渡邉貢】
Return to Myself ~ しない、しない、ナツ。【Lyrics:浜田麻里 Music:大槻啓之】
Diamonds【Lyrics:中山加奈子 Music:奥居香】
WOMAN【Lyrics:石川あゆ子 Music:中崎英也】

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