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エルメスから学ぶオーディオの未来

フランスの高級ブランドHERMÈS (エルメス) 。

世界最高峰のブランドとして多くの人に知られているエルメスですが、
元々はファッションブランドとしてではなく、馬具工房から始まったということをご存じでしょうか?

馬具職人として活躍していたティエリー・エルメスが、
36歳の頃 (1837年) にパリのマドレーヌ寺院界隈で馬具工房を立ち上げたのがエルメスの始まり。

この事実を物語る証拠として、
エルメスのブランドロゴには馬車のモチーフが描かれています。


episode1:お客様の大切な時間 (人生) をエルメスの製品とともに・・・


当時のフランスは階級社会ということもあり、
ステータスシンボルでもあった馬車を操縦する上で欠かせない馬具は、貴族の人たちにとって必要不可欠なモノでした。

高い技術力によって施されるエルメスの馬具。

ただ単に人間が使いやすいというだけではなく、
馬にも負担をかけない優しい仕様となっており、エルメスの馬具は信頼という名の価値を生みだします。

エルメスには「顧客のために最高品質の品物を届ける」というフィロソフィーがあり、
あくまでも主役は実際に製品を使うお客様という考え方は創業当時から変わりません。


episode2:職人ブランドとしてのプライド


一般的には、ラグジュアリーブランドのイメージが強いエルメス。

ですが、ファッション通の間では職人ブランドとして知られています。

(馬具工房時代から受け継がれる)
職人たちの卓越した手仕事によって生み出される製品は、まさに芸術品そのもの。

元々は貴族の人たちの為のモノづくりから始まったブランドなので、
「全てにおいて最高級でなければならない」というマインドから品質へのこだわりも尋常ではなく、扱う素材のどれもが世界最高級なものばかり。

丁寧な仕事を追い求めることよって生産スピードは格段に落ちてしまいますが、
芸術性にあふれた製品の完成度は揺るぎないものとなり、付加価値もつきます。

そして、2017年に日本でも開催された「エルメスの手しごと展」

通常、ブランドのプロモーションと言えば、
著名なゲストを招いて盛大にアピールするのが一般的ですが、
この「エルメスの手しごと展」は裏方の職人さんにスポットを当てています。

会社として、どれだけ職人さんをリスペクトし、大事に思っているのかが伝わりますね!

また、世界展開している多くのラグジュアリーブランドは、
(LVMHグループ (Louis Vuitton・Dior・Celine etc...) などの) 巨大資本のグループ傘下に属すのが一般的ですが、エルメスは何処にも属してはいません。

世界的な人気や消費者の需要を考えれば、会社として不合理な判断のように思えますが、
目先の利益よりも未来(ブランドとしての価値)を見据えた素晴らしい判断だと思います。

時代の流れに逆らいながらも、孤高のブランドを貫くことで職人たちの士気も高めることができ、実際に製品を使うお客様もエルメスのファンになる。

ブランドの価値と顧客の満足度を同時に高める、
こんなにも美しいWin-Winな関係はありません。

丁寧なモノづくりと、徹底したブランディングによって、
高級ブランドとしての地位を不動のものとしたエルメス。

エルメスが世界的な規模で愛される一番の理由は、
自分たちの魅力 (最大の価値) はどの部分にあるのかを知り尽くしているからだと思います。

極限まで品質を追求するエルメスの製品は価格の方も世界最高級ですが、
それに見合うだけの価値があることをこれまでの歴史が証明しています。


「点」ではなく、
「線」でモノゴトを捉える。


(ファッションブランドだけでなく)
そのブランドの歴史を知ることで、製品に対する価値観も変わってくるのではないでしょうか?

EarCOUTUREでも取り扱っている、GRADO「GT220」。

このイヤホンを単なる新しいワイヤレスイヤホンという「点」で認識するのではなく、
「ヘッドホンの分野で名声を手にしたブランドが作り上げた最初のワイヤレスイヤホン」という「線」で認識する方がワクワクしませんか!?

CDではなく、(サブスクリプションサービスなどを利用した) データで音楽を聴くことが当たり前となった今の時代。

オーディオ製品の立ち位置が、ただ単に音楽を聴くための道具から、
音楽の素晴らしさ(価値)を伝える道具へと変化していると思います。

エルメスの製品が世界中の人々を魅了するように、
"決してブレることのない軸を持っている製品" には、いつの時代においても心を揺さぶられます。

オーディオ製品が奏でる一つ一つの音色には、
そのブランドの歴史が詰まっていると言っても過言ではありません。

製品を手掛ける職人の方々には、
自分たちが音楽の感動を伝える最後の砦であることに誇りをもってもらいたい。

オーディオファンの一人として、
この世からホンモノの音が無くらないことを心から願うばかりです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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